ソフトウエア企業の競争戦略

昨日読了。 

ソフトウエア企業の競争戦略

ソフトウエア企業の競争戦略

 

原著発売は2004年3月という、かなり古い本であるが、現在に通じる慧眼を持っている。

ソフトウェア企業は、製品企業、サービス企業、ハイブリッド企業の3つのモデルがある。製品企業の例はマイクロソフト、サービス企業の例はアクセンチュア、ハイブリッド企業の例はIBM、SAP,オラクル。

B2C分野は製品企業が主流だが栄枯盛衰が激しく、B2B分野は製品企業として出発しても、いずれ分野が成熟してくると新規顧客への新製品売上がどんどん減り、既存顧客へのサービスやメンテナンスの比重が高まり、ハイブリッド企業に移行する。 ただし、製品とサービスとの比重によって、戦略や組織能力が大きく異なる。製品企業は販売コストを極端に低くすることができる。

ソフトウェア企業は市場を水平にも垂直にもセグメント分けすることができる。複数の垂直製品をもとに水平市場に進出する戦略は魅力的であるが、開発が難しくて費用もかさむ。市場がニッチからメインストリームへ変わると、顧客はホールプロダクトソリューションを要求する。各市場でのプラットフォームリーダーとの関係をうまくコントロールする必要がある。法人顧客は信用できるベンダーを欲している。

開発のベストプラクティスについて。生産工場をモデルにした日本初の「ソフトウェアファクトリー」は、市場の変化と成長が比較的安定していた時代には機能した。一方、マイクロソフトなど変化が激しいPCソフトウェア業界は、出版業界をモデルにした「同期安定化プロセス」(=アジャイル)を編み出した。同期安定化プロセスはモジュール構造に適合する。