予測不能の時代:データが明かす新たな生き方、企業、そして幸せ

本日読了。 

良書。nakorake平成トップ10にも選定された、ハピネスを追い求める筆者の7年ぶりの力作。全体的によいことを言っており、センサーデータによる知見もあるのだが、それってOODAとかアジャイルとかリーンとかだよね、という話を筆者独自の用語でたくさん上書きしている。強化学習は上書きではないと補足しつつ、上書きに聞こえる。また終盤は、格差や易など筆者ワールドが展開される。

幸せな組織の4つの特徴FINE。つながりに格差や孤立が無い(Flat)、短い会話の頻度が高い(Improvised)、会話中の身体運動(Nonverbal)、発言権の平等性(Equal)。

リモートワーク環境ではFINEを満たすことが難しくなる。議論が明確な時間の決まった会議だけではダメで、意識的に5分程度の短い相談や雑談をするべき。また同じ仕事を同じ人に割り当てるのではなく、いろいろな人の組合せで仕事を割り当てる。毎朝つぶやきを発信するアプリを作った。

身体の運動で幸せがわかる。ストレスが高いと身体運動の変化のサイクルがやや短い。また、組織の中で幸せのバラツキが多いのは組織としては不幸せ。

幸せを高める能力である心の資本HERO。自ら進む道をみつける力(Hope)、現実を受け止めて行動を起こす力(Efficacy)、困難に立ち向かう力(Resilience)、前向きな物語を生み出す力(Optimism)。

データやAI、統計は、過去の経験をまねるだけ。論文の審査には良いが、現実の経営課題には向かない。未来は予測不能であるという前提に立つべき。PDCAサイクルではなくPPPサイクル。予測(Predict)、気付き(Perceive)、優先化(Prioritize)。

データによるガバナンスの3レベル。レベル1: データから共通ルールをつくる(統計学)、レベル2: 過去の個別成功パターンをまねる(機械学習)、レベル3: 変化のきざしを新たな機会にする(PPP)。レベル3はルールを常に変える。