野生化するイノベーション―日本経済「失われた20年」を超える―

本日読了。

良書。

主題である「野生化」そのものは明瞭感の無い主張(個々のテーマを「野生化」のメタファーで解説しているが、無理やり感が強い)であるが、全般的にわたって、イノベーションの特性を深く分析している。「イノベーションのジレンマ」を読んだ人が応用として読むのにふさわしい。

企業家は楽観的であり、合理的な選択ではない。

破壊的イノベーションには雇用の流動性が重要。一方で、漸進的イノベーションには固定化が必要。破壊的イノベーションは重要であるが、漸進的イノベーションが組み合わさることで市場が大きくなる。破壊的イノベーションには基礎研究が必要で、米国では国防総省がその役割を担う。日本ではその役割は企業であったが、最近では喪失してきた。最近は、「手近な果実」を得てしまって、大きなイノベーションが起きにくくなっている。