ゲノム編集とは何か 「DNAのメス」クリスパーの衝撃

先日読了。

良書。島耕作推薦。
DNA編集の技術が、アナログからデジタルになった、という印象。
従来の遺伝子組み換え技術は、本来の遺伝子を切断し、外来遺伝子とつなぎあわせることで行われる。しかし、狙った箇所を切断する成功率は100万分の1で、成功を得るために大量の実験の繰り返しが必要であった。さらに、それだけだと遺伝子の片方だけなので発現しない。そのため、さらに交配を行う必要があった。よって最低でも半年〜1年の時間を要した。また汎用性に乏しく、マウスで使った手法は人間には応用できない。
クリスパーは、特定の細菌の遺伝子の一部から発見された。クリスパーを使うと、遺伝子の狙った箇所(一度に複数箇所)を、数分の1の確率で、ペアで切断〜改変することができる。数時間から1日で作業は完了し、汎用性も高い。
クリスパーは、すでに、食物の改良などに実用されはじめている。従来の遺伝子組み替え技術とは異なり、今の所規制もされていない。
技術的には、人間の遺伝子的病気を根絶し、さらには優良な人間にするデザイナーベビーの作成も可能になっている。あとは、遺伝子と病気や特質との相関を正確に知ることが必要で、遺伝子情報のビッグデータ解析が盛んになってきている。