クラウドゲームをつくる技術 ─マルチプレイゲーム開発の新戦力

本日読了。 

クラウドゲームをつくる技術 ──マルチプレイゲーム開発の新戦力 (WEB+DB PRESS plusシリーズ)

クラウドゲームをつくる技術 ──マルチプレイゲーム開発の新戦力 (WEB+DB PRESS plusシリーズ)

 

力作。クラウドゲームを「ゲームロジックをサーバー側で実行し、クライアントは汎用ビューアーを用いてプレイするゲーム」と定義。

専用クライアントソフトを用いる従来のオンラインゲームと異なり、オフラインゲーム開発ノウハウだけで開発可能なものと位置づける。代表例は、SIE「PlayStation Now」や,NVIDIAGeForce Now」、Yahoo「ゲームプラス」、ブロードメディア「G-cluster」、先ごろGoogleが発表した「Stadia」、Micorsoftが企画中の「Project xCloud」である。プリミティブな入力イベントを全てサーバーに送り、サーバーから画面がストリーミングで飛んでくるため、サーバー要求(CPU/GPU、メモリ)、ネットワーク要求(高帯域、低遅延)が高い。そのため高コストになるとともに、多人数同時プレイが難しく、いまひとつ普及していないとのこと。

そこで、筆者は、レンダリングだけをクライアントで行う「クライアントレンダリング方式」を提唱して、試作実装する。それによって、ネットワーク負荷が数十〜数百分の1になり、上記の課題がかなり軽減される。今はまだこの方式のクラウドゲームプラットフォームは無いとのことだが、今後注目のアーキだと思う。

どの方式がベストというわけではなく、使い分けが進むものと思われる。(ファイナルファンタジーシリーズのような)映像コンテンツ再生比率が高いゲームや、専用機でのレンダリングが必要な高精細3Dゲームであれば「サーバーレンダリングクラウドゲーム」、開発投資が潤沢にかけられる大型タイトルなら「従来型オンラインゲーム」、スプライト描画中心のライトな、かつ多人数参加型ゲームなら「クライアントレンダリングクラウドゲーム」が適している。

精密なコストや通信能力の試算や、ネットワークプログラミングの粋を凝らした実装など、充実の内容。