知識ゼロから学ぶソフトウェアテスト【改訂版】

本日読了。

良書。ソフトウェアテストの理想と現実を、筆者の海外に渡る多彩な経験と、独自の語り口調で説明する。

  • ホワイトボックステストは、カバレッジというメトリックスが使えるため、管理者には人気。ステートメントカバレッジは、確認できる範囲は限定的なので,ほとんど役立たない。また80%、90%のカバレッジを目指すには、テスト技術者が深くコードを読み込む必要があり、コストがかかる。60%程度で出荷されるプロダクトが多い。ブランチカバレッジも交えるとやや確認できる範囲は広がる。しかしながら、昨今はアジャイル・TDDが主流になってきたため、カバレッジが高くなってきた。
  • ブラックボックステストは機能仕様を確認するのに最適。同値分析や境界値分析、ディシジョンテーブルにより、テストケースを効率的に抽出する。
  • 探索的テストは、テスト技術者が実際にソフトウェアを操作してみて、試行錯誤的にバグを見つける。GUIに強く、探索的テストと他のテストを併用すると、効果が高い。
  • 非機能要求テストは難しい。パフォーマンステストは早期から取り組んで回帰テストをしないと、大きなアーキテクチャーバグを組み込んだままスケジュール終盤になってしまい、取り返しが効かない。
  • テストプラン策定の拠り所として、IEEE829がある。
  • テストケース管理ツールを使うとよい。
  • メトリックスとして、コードの複雑度を測る、サイクロマチック複雑度がある。複雑度の高いモジュールを、集中的にテストする。Microsoftでも使っている(た?)。
  • 最近では、GoogleがSREの概念として、開発者とテスト担当者を融合させてきた。(本書の時点ではSREという単語は形成されていない)

 

本書はやや古いが、直近で「ソフトウェア品質を高める開発者テスト アジャイル時代の実践的・効率的なテストのやり方」が出ており、後で読む。

イノベーターのためのサイエンスとテクノロジーの経営学

昨日読了。

経営学の論文の「良し悪し」の判断方法を、興味深いテーマの実論文をケーススタディすることを通じて学び、自分で書く論文をなるべく良いものにする方法を体得する、早稲田大学ビジネススクールの講義を書き起こした本。

講義としては良質だが、書籍としてはどうか。方法論を学ぶためであれば、本書では触りしか述べておらず、むしろ本書の中でも紹介している参考書籍である「「原因と結果」の経済学―――データから真実を見抜く思考法 - nakorakeの日記」「データ分析の力 因果関係に迫る思考法 - nakorakeの日記」などを読むほうがよい。また、意外なビジネスノウハウを学ぶためであれば、本書は、方法論軸でケースを紹介しているためわかりにくく、「ビジネススクールでは学べない 世界最先端の経営学 - nakorakeの日記」「世界標準の経営理論 - nakorakeの日記」など、ノウハウ軸で書き起こしたものを読む方が良い。結果的に、本書は、どっちつかずの中途半端な本になってしまっている。

 

“未”顧客理解 なぜ、「買ってくれる人=顧客」しか見ないのか?

本日読了。

変わり種。多くの読者に馴染みがない主張であると筆者も認識しているからか、日本人のマーケティングの書としては論文引用が多い。

主にB2Cの、自社の商品を購買しないライトユーザーへのアプローチとして、マーケティングの常識は通用しないことを、説明する。

STP(セグメンテーション、ターゲッティング、ポジショニング)モデル、ロイヤルティ戦略などの、差別化は通用しない。多種多様な「市場(不合理(だけど顧客にとっては合理)な購買文脈)」と商品との結びつきを再定義して、CEP(カテゴリーエントリーポイント)を作る。商品特徴の一貫性を保ちながらCEPを増やす。CEP✖️市場規模が購買量になってくる。

自分の意見で生きていこう

本日読了。

良書。世の中には、正解のある問題と、正解の無い問題(厳密には時間と経済の合理性の範囲内で正解が求められない問題?)とがあり、前者には正解と不正解が、後者には意見と反応がある。意見と反応の違い、意見を言うには、というのが本書のテーマ。意見とは(問題に対する)ポジションを明確にすること。明確にした上で、ポジションを変えうる可能性がある質問をしあうのが、議論である。

議論をする、といいつつ、反応を交換しあいがちなので、「議論とは」という説明もあるとよいかも。

巻末のダイヤモンド社の本の紹介欄で紹介されている著者名を見て、「ダイヤモンド社は遊んでいる」という意見を持った。

Moonshot(ムーンショット)~ファイザー 不可能を可能にする9か月間の闘いの内幕~

本日読了。

良書。新型コロナウィルスのワクチン供給に関して、常識的な製薬開発リードタイム(平均7〜10年)を約1年に短縮し、なおかつ生産量をこれまでの最大級の10倍に引き上げた。開発、製造だけでなく、政府や当局との交渉、各国への割り当てや薬価設定などの政治的な対応まで含めて、ブレークスルーをした物語。

重要なのは、なぜガンなどの他の薬には、同じことができていないのか?を問い直し、改革を横展開しようとしていること。ムーンショットは、成功例の横展開まで行って、はじめて目的達成と言える。

新型コロナウィルスは、ある意味、人類とウィルスの戦争であった。戦争という最大の危機を通じて、ブレークスルーが行われた。

プロジェクトのトラブル解決大全 小さな問題から大炎上まで使える「プロの火消し術86」

本日読了。

良書。トラブル解決だけでなく、プロジェクト管理、一般のマネジメント全般に通じる話。

マスタリングTCP/IP 情報セキュリティ編(第2版)

本日読了。

最新情報に改定して、ゼロトラストアーキテクチャにも対応。全般的に「ネットワーク屋視点でのセキュリティ教科書」という感じ。プロトコルの細かい挙動に詳しい。