データの見えざる手: ウエアラブルセンサが明かす人間・組織・社会の法則

昨日読了。

超面白い。ビッグデータ解析により、人間にも法則があった。
やりとりの繰り返しとしてのU分布、行動を続けるほど止められなくなる1/Tの法則。U分布の活動温度が高いほど幸せを感じる。1/Tに沿った継続的な動きの頻度が高いほど幸せを感じる。よく会話する人の到達度が高いほど仕事ができる。到達度の三角形が多いほど組織の結束度が高くなる。会話を受ける相手の「建設」「追従」「懐疑」が動きで分かる。
複雑系のマクロの状態をミクロな情報から解析するには、これまでの演繹的情報処理から、帰納的情報処理(シャーロック・ホームズ型)への転換が求められている。そのためには統計力学を応用した「運転判断型」人工知能が求められる。これは、ワトソンのような「質問応答型」や、Google機械翻訳のような「パターン識別型」とは違う種類である。
ビッグデータで儲ける三原則。第1の原則「向上すべき業績(アウトカム)を明確にする」。第二の原則「向上すべき業績に関係するデータをヒトモノカネに広く収集する」。第三の原則「仮説に頼らず、コンピュータに業績向上策をデータから逆推定させる」。第三の原則はこれまで守られなかった。プロジェクト費用を捻出する承認を得るのに仮説が必要だからだ。第二の原則は容易に集められるデータだけで検討してしまうという落とし穴がある。特にヒトのデータが不足しやすい。
直島宣言。ビッグデータを活用して、サービスと科学の融合によってどんな社会を目指したらよいかのビジョン。NM1(感じあう)。今後は人々の熱意や共感などの人の行動をドライブする技術が必要になる。アフェクティブ。人を楽にすることではなく、人の潜在力の発揮を支援する。単なる便利さではなく、生きる意味・信念・夢までを理解して実現を支援する。NM2(力を合わせる)。人々が協力し、尊敬しあい、助け会う道を拓く。NM3(守り育てる)。社会の様々な脅威に対抗するインフラを作る。NM4(科学技術の再構築)。それらにふさわしい科学技術の方法論を再構築する。NM5(経済の再構築)。天然資源の保全や人々の幸福感を考慮した新しい経済指標を確立し、人々の認識や潮流に影響を与える。