日本版インダストリー4.0の教科書 IoT時代のモノづくり戦略

先日読了。

ものづくり情報戦略の全体像を理解するための良書。
インダストリー4.0は、カイゼンのツールではなく、情報の共有化。
製品、スペックの情報は、設計情報(E-BOMで管理)、顧客要求仕様情報、要素技術情報、部品/ユニットサプライヤー情報、製造情報(M-BOMで管理)の5つで管理する。また、これらは顧客・消費者を巻き込むマーケティング〜商品企画〜製品設計〜工程設計・生産技術を行き交うとともに、エンジニアリングチェーンとしてのシミュレーションと、サプライチェーンとしての実体・実物管理を行き交う。情報の共有化により、これらが企業を超え、国を超えて行き交うことができる。日本が得意としたのは、製品設計〜工程設計・生産技術の実体・実物管理のところだけであり、少量多品種生産の時代には通用しない。
米ARMリサーチ社が提唱するREPACモデルとは、IoT時代のものづくりアーキテクチャーである。需要と生産・供給を管理する業務システムであるERP、その生産計画を伝えるMES、生産現場のPLC、現場データを分析するSCADA、その結果を計画にフィードバック・調整するスケジューラーであるAPS、マスタデータを持つBOMから成る。BOMは目的別に整備する。技術BOM(E-BOM)(設計段階の仕様、設計完了したら販売BOMに映る)、販売BOM(販売オプション、仕様の組み合わせ、見積もり情報)、受注BOM(受注仕様)、製造BOM(現場資源情報、工程情報、製造手配情報)、メンテナンスBOM(顧客設置情報、変更情報、不具合情報)の5つからなる。BOMを種別ごとに、企業内・企業間で水平統合することが求められる。
これからは、スペック(エンジニアリングチェーン)、スループットサプライチェーン)、アセット(モジュール化により投資を長く活用する)の3つをうまくマネジメントすることが必要となる。