両利きの経営

 本日読了。

両利きの経営

両利きの経営

 

両利き(知の深化と知の探索)というコンセプトは、監訳者の入山先生が既にいくつかの著書(ビジネススクールでは学べない 世界最先端の経営学 - nakorakeの日記)などで紹介済みなので新味は無いが、初見の人には興味深く読めたのではないか。

既存市場×既存組織能力から外部に事業を拡大する動きを「イノベーションストリーム」と呼ぶ。新規市場×新規組織能力が最も難しいが、その次に難しいのは既存市場×新規組織能力。組織を変えるというのは難しいものだ。

豊富な事例をもとに、両利きを成功させるための処方箋を示しているが、その処方箋はやや散文的でまとまりが無い。しかし、既存事業と新規事業双方に通じる共通のアイデンティティを持つとか、既存事業からの支援を十分得られるようにリーダーは尽力するとか、マネジメントチームと課題に向き合い対話して解決を探るとか、は参考になる。「両利き」は、独立事業でもスピンアウトでもなく、既存事業と新規事業をうまく連携させる必要があるのだと思う。

既存事業と新規事業で、評価項目を変えるのは当たり前。処方箋としてはまとめていなかったが、新規事業であっても財務的目標(10億ドル以上の売上可能性、3年でブレイクイーブンを目指すなど)は課している事例が多かった。