ある数学者の生涯と弁明

先日読了。

ある数学者の生涯と弁明 (シュプリンガー数学クラブ)

ある数学者の生涯と弁明 (シュプリンガー数学クラブ)

ハーディは、リーマン予想につらなる最初の証明をしたとともに、ラマヌジャンを見出した、20世紀初頭の数学者。
本書は彼のエッセイと、その解説文であり、その中でも「重い」定理、「意義ある」(数学)概念の説明が秀逸。
「重い」定理、「意義ある」概念とは、「一般的」かつ「深い」性質を兼ね備える。
「一般的」とは、適切な特殊性と幅広い一般性を兼ね備えたものであり、特殊な状況の数字遊びのようなものはもちろん一般的ではないが、過度に一般性を求めすぎるとつまらないものになる。
「深い」とは、整数に対する無理数のように、より下の階層の概念を言い、素数の無限性のように剰余の知識だけで証明できるものは浅く、素数定理(分布の近似)のようにより下の階層の概念を用いないと証明できないものは深い。
さらに、真の数学は、「純粋に美的な」な性質を持つ。これは、必然性と経済性に結びついている非常に高度な意外性であり、単なる列挙で証明できるものはとるにたらない。