マンスキー データ分析と意思決定理論

本日読了。

良書。「何もしなければ43万人死ぬ」の問題点を適切に指摘し、改善策を述べている。

政策決定にデータを使うことは普及してきたが、強い仮定を置いた点の予測になっており、結果的に間違っている(もしくは合っているか検証できない)ことがほとんどである。ランダム化比較実験でさえ暗黙の仮定をいくつも置いているし、現代経済学が人々の行動予測に使っている仮定もいくつもある。

そのため、部分的な知識をもとにした弱い仮定を置いた区間予測を行うべきであるが、現在より良くなるのか悪くなるのか不明確になってしまう。意思決定の方法論が必要である。

意思決定としては、支配される行動を消去しつつ、(1) 期待厚生基準、(2) マックスミン基準、(3) ミニマックス・リグレット基準 などがある。最適な意思決定基準など存在しないという事実と向き合いつつ、妥当な意思決定をしなければならない。

新たな方法として「処置の分散」を提案する。民主主義は事後的な意味での平等処置に固執すべきであり、当初の処置が地理的や時間的に分散することは妥当である。利用者に処置を選ばせる自由放任主義よりも、プランニングしたほうが厚生は高くなる。